伊万里市議会議員 いわたてただすけ (岩楯忠介) の一般質問の記録です。伊万里市議会の定例会ごとに、質問した内容と市の答弁をまとめています。
2026年9月定例会
準備中
2026年6月定例会初めての一般質問
2026.06.24登壇 (11:10〜12:18)
※正式な会議録が公開され次第、記載を差し替えます。本ページは当日の記録をもとに、設問ごとの要点をまとめた要約です。
9年前に東京から伊万里へ移り住んだ移住者の視点から登壇。国勢調査で市の人口が実質的に初めて5万人を割り込んだことを踏まえ、市政の優先順位を「①人口減少を食い止めること ②減った後も暮らしが続くよう地域の仕組みを再編すること」の二つと整理。その観点から、人を呼び込む「移住支援」と担い手を育てる「社会教育」を問い、最後に両者を束ねる「人づくり」への市長の思いを尋ねた。
(1) 移住支援の体制強化について
宮崎県都城市 (施策を活用した移住者が平成25年度の1人から令和5年度3,710人へ・県内唯一の人口増) と千葉県流山市 (18年で約4割の人口増・増加率6年連続全国1位) を挙げ、変化のきっかけは施策の物量ではなく「もっと分かりやすく」の徹底だったと指摘。市のホームページの移住定住ページは連絡先が企業誘致・商工振興課で窓口が外から見えにくいとして、名称・電話応対・表示という「入り口」の分かりやすさをどう改善するかを問うた。
企業誘致・商工振興課に就活移住支援係を置いて相談に対応しているが、課の名称から移住相談窓口を連想できない分かりにくさがあったことは「十分反省すべき点」と答弁。通告後の対応として、1階・2階の案内板への「移住定住相談窓口」表記の追加、課内へのつり看板の設置、直通着信を判別するコール音の変更と「移住相談の窓口です」と名乗る体制への変更を挙げた。ホームページや案内チラシの表記見直しも順次進めるとした。
論点大きな制度改革や予算ではなく、窓口の名称・応対・表示という「入り口」を整えることで移住への本気度が伝わるかどうか。
(2) 地域おこし協力隊について
本市は平成29年度以降に協力隊を受け入れ、これまで6名が任期を終えたが、市内または県内に定着したのは2名。全国の定着率が平成26年の64.9パーセントから令和7年度調査で70.3パーセントへ高まっていることと照らし、定着率を左右する要因の分析と改善点を問うた。
退任隊員が任期後の生活基盤を築く上で「隊員一人一人の思いに寄り添った支援が十分ではなかった」と答弁。任期の早い段階から将来の暮らしを見据えた対話と、地場企業等とのマッチングの調整を重ねることが重要であり、入り口から出口までのプロセスを見直していきたいとした。
定着が進まない要因は仕組みの問題であり、鍵は募集時点のマッチングと着任後の伴走だと指摘。本市の募集記事はいずれも約1,000文字 (自身が制作した県内他自治体の記事は約1万文字) 、職員の異動でノウハウが失われやすいことを挙げた。佐賀県では既に半数以上の企画が中間支援のもとで実施され、県の定着率は令和6年度調査の59.3パーセントから令和7年度調査で68.3パーセントへ回復。特別交付税に導入支援350万円と伴走支援200万円、計550万円の枠があることを示し、中間支援事業者の活用方針を問うた。
中間支援事業者の重要性は十分に認識しているが、直接委託の実績は現在までないと答弁。佐賀県主催・一般社団法人佐賀県地域おこし協力隊ネットワーク運営の研修会等へ隊員を参加させる間接的な活用にとどまるとした。今後は、明確なミッション計画でミスマッチを回避できるメリットと、事業者の地域理解不足のリスクや地域の主体性が失われる「丸投げ」への懸念という両面を検討する必要があるとし、総務省の指針や先進自治体の事例を「幅広くまずは調査研究をさせていただきたい」と述べた。
論点定着率を隊員個人の問題ではなく募集の質と伴走体制という「仕組み」の問題として捉えるかどうか。財源は既に国が措置している。
(1) 人口減少時代における社会教育の意義について
社会教育は学校の外で全世代を対象に、人と人とのつながりをつくる営みであると整理。社会教育法第2条・教育基本法第12条を挙げ、国も平成30年の中央教育審議会答申で社会教育を地域づくりの基盤・中核と位置づけ、令和8年5月にも「意見の整理」が公表されたばかりであることを示した。令和2年新設の社会教育士に文部科学省が求める三つの力 (人の意欲を引き出す力 / 地域の思いを伝える力 / 人と人をつなぐ力) にも触れ、「将来を見据えた人づくり」を重点施策の筆頭に掲げる第6次総合計画を踏まえ、市の位置づけと現状認識を問うた。
社会教育は全世代が生涯にわたって学び、地域の担い手として成長するための重要な基盤であり、「国や地方自治体等の公的な機関が責任を持って推進していくべき」ものと認識していると答弁。人口減少が進む中でその役割は重要性を増しているとした。本市では社会教育を含む生涯学習の枠組みの中で生涯学習課が取組を進めてきたとし「子ども伊万里塾」等を挙げる一方、担い手不足・高齢化・参加者の固定化といった課題も生じているとし、市長部局との連携を図りたいとした。
論点社会教育を公的機関が責任を持って推進すべきものと市が明言した点。
(2) 社会教育の推進に向けての市の組織体制について
社会教育法第9条の2が教育委員会事務局に社会教育主事を「置く」と定めた必置規定であることを挙げ、本市の任用状況を確認。佐賀県教育委員会の資料で佐賀市が有資格者73名、唐津市が27名を擁することとの差を示した。その上で、現職職員が受講できる九州大学の講習 (約3週間・費用8万円ほど) や島根大学のICTオンデマンド型講習を紹介し、1年に1名ずつでも継続的に派遣すれば専門性が層となって育つとして、講習への継続的派遣と主事の人事発令の再開を提案した。
本市教育委員会事務局には社会教育主事の発令・有資格者ともになく、生涯学習課の一般行政職員が事務を行っていると答弁。採用計画や異動ローテーションを考えると専任配置は難しく、有資格者がいない中では人事発令も難しいとしつつ、「今後まずは、生涯学習課に配置された職員について、そういった講習の受講ができないか検討していきたい」と述べた。
論点必置規定でありながら発令も有資格者もいないという現状を議場で確認した上で、専任配置ではなく「まず1名の講習受講」という現実的な一歩に絞り込めるかどうか。
教育委員会事務局組織規則の別表第1で、生涯学習課の事務分掌の第1号は「社会教育の計画及び指導」、第2号が「生涯学習の機会の提供」であり、業務の筆頭は社会教育なのに課名は第2号を冠しているねじれを指摘。生涯学習は学ぶ個人が主体、社会教育の主体は行政にあるとし、島根県教育庁が平成22年に生涯学習課を社会教育課へ戻した事例 (個人の学習支援が行政の役割だとの誤解が生じ、地域づくりという本来の役割が見えにくくなったため) を挙げ、中長期の検討課題として研究を始められないかを問うた。
本市は平成6年度まで社会教育課と呼称し、平成2年の生涯学習振興法制定を受けた当時の全国的な流れの中で平成7年度に生涯学習課へ改めた経緯があると答弁。社会教育が行政の役割を示す名称であることは教育委員会も認識しているとしつつ、現在の課名となって30年以上が経過しなじみが深いため慎重な検討が必要であるとし、「今後、課名を解消する機会がありましたら、その際に検討の材料とさせていただきたい」と述べた。
(3) 公共施設整備に係るソフト事業への取り組みについて
コミュニティセンター・市民図書館・国見台公園などは社会教育施設にあたるとした上で、施設という器 (ハード) とそれを動かす人材やプログラム (ソフト) は社会教育の両輪だと指摘。就職支援・終活支援・環境啓発・農業体験など地域の学びを支える有志の活動が担い手の高齢化で縮小する例も少なくなく、そのノウハウの継承が必要だとして、ハード整備と並行したソフト面の充実にどう取り組むかを問うた。
公共施設の整備にあわせてソフト事業の充実が不可欠であることは十分に認識しており、担い手の人材確保と育成、学習や交流機会の充実は解決すべき課題であると答弁。教育委員会だけでなく地域づくり課や各コミュニティセンター等との連携が必要になるとし、今後の生涯学習行政の在り方について関係各所の意見も伺いながら研究・学習を深めたいとした。
学校教育では年間計画が当然に立てられている一方、本市の社会教育にはそれにあたる計画が見当たらず、どのような人をどのようなビジョンで育てるのかを言語化した柱がないと指摘。第7次総合計画の策定が動き出したこの機会に、まずは本市の社会教育の実態を調査・研究し、その上で社会教育の基本計画の策定に向けた検討を始められないかを問うた。
中長期的な方向性と施策を示す基本計画の策定が有効であることは認識しているとしつつ、「現在のところ、社会教育に特化した基本計画等を策定する予定はございません」と答弁。まずは社会教育を含めた生涯学習全体の在り方について議論・研究を行った上で、資格取得のための講習受講や課名の解消等、体制づくりについて検討を重ねたいとした。
論点計画策定の予定はないとしつつ、講習受講と課名の解消が「検討を重ねる」対象として答弁に位置づけられた点。
移住は本人と家族の人生を左右する大きな決断であり、移住を考える方はまちの本気を真剣に見ていると述べた上で、多様な方々に「このまちでなら自分の力を生かせる」と感じて伊万里を選んでもらうためにどのような情報発信が必要か、これからの移住支援策に込める思いを市長に問うた。
よそから来た方でなければ気づかない指摘であり、できることはすぐやろうということで対応したと答弁。移住定住は一過性の取組や一つの部署で対応できるものではなく「全庁を挙げた多面的な取組が必要」とした。伊万里の強みは造船・半導体・IT関連といった質の高い雇用があることだとし、その稼ぐ力を暮らしの豊かさにつなげる必要があると述べた。給食費・高校生世代の医療費・保育料の無償化は、自治体間の競争が消耗戦であり本来は国がやるべきとしつつ「もうそこまでしないといけないときに来ている」との認識を示し、人口5万人割れを「待ったなしの状態」として覚悟を述べた。
人づくりを学校教育と社会教育の両輪で全世代へ広げていく道を提起。人口減少の最前線に立つ地域は課題先進地域であり、だからこそ解決策を最も早く示せる立場にあるとして、人を呼び、人と人とがつながり、人が育つ仕組みづくりこそ伊万里が選ばれる土台であると述べ、社会教育を核とした人づくりに込める思いを問うた。
教育は教え育てること、学習は学び習うことであり主体が違うとして、「生涯学習と社会教育、そこら辺の関係はやっぱり整理をする必要がある」と答弁。自身は「どちらかといえば、社会教育というよりも生涯学習的な感覚を持って」いるとし、市の役割は学習の場や材料の提供、出前講座やホームページによる情報提供にあるとの考えを示した。取組としては子育て・若者の成長応援パッケージや高校での講話を挙げ、伊万里の工業出荷額が県内1位であることを知らなかったという高校生の反応を紹介。まず伊万里を知ってもらうこと、進学や就職、転職の折に伊万里を選択肢として思い出してもらうこと、この2点を伝え続けると述べた。
論点「社会教育」と「生涯学習」の関係を市として整理する必要があると市長が述べ、その整理が今後の宿題として残された点。
今回の一般質問は成果を得ることではなく、社会教育をはじめ言葉の定義が十分に共有されていない分野について議論を始める最初の一歩と位置づけて登壇しました。今後の検討の進捗は、引き続き確認してまいります。
※正式な会議録が公開され次第、記載を差し替えます。本ページは当日の記録をもとに、読みやすさを優先して設問ごとの要点をまとめたものです。鉤括弧で示した箇所を除き、発言そのままの引用ではありません。